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Feb 08, 2006

女系天皇論議

秋篠宮妃紀子妃殿下のご懐妊の発表を受け、注目度が一層増している女性・女系天皇問題。
いわゆる保守派の間でも、女性天皇については多少、意見が割れているが、「女系天皇反対」というの線は共通しているようだ。
私も女系天皇に反対しているのだが、今の女系天皇反対論の中には、違和感を覚えるものがある。
いくつか列挙していきたい。

・男系の遺伝子
男系にのみ伝わる遺伝子があり、それを絶やしてはいけないという論。
しかし、少なくとも1000年以上は続く男系相続が、そんな生物学的な話で男系相続が決定していたわけではない。ましてやその遺伝子に特別な効果があるわけでもない。
それに、そんなに男系の遺伝子が大事であるなら、桓武平氏でも清和源氏でも村上源氏でも男系で存続している家なら天皇に即位できるという理屈にもなりかねない。
いささか、為にする反論すぎる。

・諸外国から女系では敬意を得られない
諸外国からの見方はどうでもよいだろう。天皇家をどう考えるかは日本の国内問題であり、諸外国からの見方で決めるものではない。それこそ、靖国問題とダブルスタンダードな論になる。

・皇朝の継続性
女系相続では王朝交代にも等しいという論。
しかしながら、英国の現王朝もエリザベス女王後をその息子(あるいは孫)が継いでも王朝の継続性が絶たれたと思う人は少ないだろう(1960年勅令により、マウントバッテン・ウインザー家に家名は代わるが、王朝名(王家公称)はウィンザーを続けるとされている)。また、オランダでは女王が3代続いているが、オラニエ・ナッソウ家として家名もかわっていない。
従って、世界的なレベルでみれば、女系だからといって必ずしも王朝交代とはなっていない。個人的にそう考えるのは自由であるが、一般論化するのは誤解を招く主張だ。

・伝統の継承
男系相続という天皇家の伝統を崩すという論。
しかし、1000年の伝統を崩して京都から遷都し、洋風の習慣を入れ、側室制度を廃し、民間より皇后陛下を迎え、皇后陛下自らの子育てを行い……ちょっと例が明治以降に寄っているが、数々の伝統を崩しながらも、それは好ましいものとして受け入れられていっている。「伝統だから」で崩していけないというのであれば、それらはどうなるのであろうか。

と、ここまで反論してきてなんだが、私は女系天皇反対なのである。

理由の一点目は伝統と文化の問題。「家を継ぐのは男子である」という考えが、私にとっては自然だからだ。そして、今現在は、そうした考えが世間でも一般的であろう。いってみれば、男系相続は日本の伝統であり文化であるといえよう。
上記反論と矛盾するようだが、「天皇家の伝統」ではなく「日本の伝統・文化習慣」ということだ。
だから、日本国の象徴である天皇家もそうすべきだと考えるのである。

そして 二点目はシステム上の問題。万世一系・男系相続というシステムが過去において天皇制度を維持するのに重要な役割を果たしてきたからだ。
このシステムは、道教や平清盛、足利義満が天皇になる(あるいはとってかわる)ということを阻まれた大きな要因である。
そして、皇統が維持されたからこそ権力と権威の分離に成功し、日本が動乱に陥った際に最後の安定点として登場し、日本が決定的な混沌に陥ることを回避させてきた。
もちろん、女系になったからといって、皇統が断絶したと感じる国民は少数派だと思われ、天皇家の権威が失われるとは考えにくい。
しかし、万世一系・男系相続という皇位継承の根幹が一度、変更されてしまえば、あとは「前例」ができることでなし崩しに変更されうるのではないだろうか。そして、権力と権威の分離が失われてしまったら──。

以上が私の女系天皇論議に関する見方である。 女系反対論に与したいところはあるのだが、遺伝子の話などは(個々人の理由とするのはともかく)、広く一般に訴えるには、ちょっと向かない理論ではないか。 また、王朝交代論にしたところで、愛子内親王殿下に即位し、その子供に皇位が継承された場合に、皇統の断絶を国民が感じるのか? というと、これも疑問だ。 「男女同権をまず天皇家から」というスローガンを掲げられると、感情的にはどうあれ正面から反対しにくい(男女差別と反論される)ことを考えると、女系天皇反対運動を広めるには、もっと一般にアピールするものが必要なように思われる。

Posted at 22:03 in 社会 | WriteBacks ()
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