Dec 14, 2005

塾講師による生徒殺害事件

幼い子供を狙った痛ましい事件が続いてる。
9日、塾講師によって生徒だった小学校6年生の女児が殺害された。

動機は不明ながら「折り合いが悪い」というのは以前からとされている。報道を信ずる限りは、イジメ(パワーハラスメント?)といえるような仕業があったということだ。
また、一部では「好意をもっていたが“ふられた”ので、イジメはじめた」という報道がある。
いずれにしても、子供相手にムキになっているというか、同じ目線で喧嘩している。

一部報道が事実だとすれば、彼の性的嗜好がロリコンだとかいった話になっていくのだろうが、本質はそこではない。
「自制」できるのか、「立場」にふさわしいふるまいができるのか。
そこが問題だ。
“社会”よりも“個人の権利”を優先するかのような教育。
“子供”を“大人と同じ”とする教育。
そうした教育の負の面が、「個人」を「自制」できず、「子供」と「(大人である)自分」を同レベルとして行動した今回の事件に繋がっているように思えてならない。

その事と関連しているのかもしれないが、この犯人のもつ「二面性」というのが指摘されている。熱心で優秀な講師という顔と、今回の事件。
が、考えてみると、これは二面性ではないのではないか。自己愛、あるいはエゴだということで一貫性をもっているのではないか。
つまり、講師としての「熱心さ」は教育に熱心なのではなく、自分の評価を向上させることに熱心なのである。
だから、自分の評価を貶めかねない生徒──学業が伸びない、指導に従わない生徒は、彼にとってはなんとしても解決せなばならない。「自分の評価を向上させることに熱心」の行き着く先が生徒の殺人だったということになる。
もちろん、理性的に考えれば、殺人などしたら「評価」など吹き飛んでしまう。
が、それは「殺人をしたから」であって、彼が今まで評価されてきた能力とは別の理由である。だから、彼の“評価”は守られる。
こんな風に思えてならない。
いずれにせよ、何ら正当化できるような事ではないが。

また、「塾の危機管理」の問題もクローズアップされている。
確かに、以前、学校内で生徒同士による殺人事件というものもあったのだから、“最悪”を想定するという危機管理の要諦からすれば、塾側の危機管理能力という問題が浮上するのは当然だろう。
しかしながら、それをしたり顔で批判する“コメンテーター”という連中は何なのだろうか。彼らは事前にそんな事を予想し、警鐘を鳴らしていたのだろうか?
事がおきてからあれこれいうことはたやすい。危機管理についていえば、彼らもまた“同罪”といえよう。
実際、今回の事件ではかなりの計画性が指摘されている。そうである場合、どんなに警戒したとしても“最初の一撃”を防ぐことは困難だ。
今回も塾側は生徒と講師が一緒にならないように指示を出しているのだが、それをあえて無視されるとなると、指示された以外の行動はとらないように強制排除するような仕組を考えねばならなくなる。だが、アルバイトを相手にそこまで厳格な就業を要求するのは社会的に困難だ。サービス出勤、サービス残業ですら当たり前なのが日本社会なのだから。
突き詰めれば、塾という形態を捨てて、在宅リアルタイム通信授業にでもしない限りは安全性の確保は不可能だ。

それでも、できる限りを求めていけば、最も留意しなくてはいけないのは“人”だということになる。
今回の犯人は、以前よりこの女児と問題を起こしている一方、一般的には評価がよかった、とされているようだ。
この件だけをもってして解雇というのは難しそうである(もっとも、そうしていたらいたで、別の形で生徒が“襲撃”されていた可能性が高いように思えるが)。
一方、犯人は在籍する同志社大学内で事件を起こしている。女子学生の財布を盗もうとして、警備員に咎められてこれを殴打したというのだ。強盗未遂として、刑事事件となり、執行猶予付の判決をされている。大学側からも停学処分が言い渡されている。
この塾に採用されたのは、この停学期間中だったという。
もし、塾がこの事件を知っていたら、果たして採用していただろうか?
だが、個人情報保護法が施行された今、停学はおろか、大学に在籍しているのかどうかすら、本人からの確認によるしかない。
個人情報のトレーサビリティを低くするのが個人情報保護法の狙いでもあるが、社会を構成していく上で必要な情報も遮蔽されてしまってはいないだろうか。
実名のトレーサビリティがなくなれば、それは限りなく匿名社会に近づく。
運用面での齟齬もあるのかもしれないが、それを含めて、個人情報保護法を見直す必要があるのではないだろうか。

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