Nov 27, 2005
耐震強度偽造
耐震強度偽造問題がここ数日のトップニュースとなっている。
これを「官から民へ」の成果だと、小泉政権攻撃の材料としようとしている向きもあるが、私はそういう見方には同意しない。このあたりは、建築関係の技術者である青い炎の日記さんと見解を同じくする。
実際、神奈川県では、平塚市も市内のホテルの構造計算書の偽造を見逃していたことが発覚しているのだし。
で、私としてはちょっと別の面から論じてみたい。
建築業界の現状というものについてだ。
さて、この構造設計という仕事、どの程度のお金になるのか見てみる。
ソースとしては、毎日新聞の記事が手がかりになる。
耐震偽造:構造部分のコスト削減、「建築主、気にしない」(毎日新聞11月20日)
これによれば、問題の設計士は「5年間で約110棟の構造計算」をしていたという。つまり、年平均22件。同事務所の年商は約2000万。実際にはこれ以外の収入もあっただろうことを考えると、1件あたり80万円くらいの収入か。
で、同じ記事によれば「個人事務所であれば、マンションの構造設計なら通常年間3~4棟、よくやっても年間10棟が限界だろう」とある。間をとって、「頑張った」として年8件くらいだとすると、年商640万。
……ありゃ。
40代サラリーマンの平均年収くらいか? と思うのは早計。
これはあくまで「年商」なので、「年収」はこれを下回る。
利益率は不明だが、構造設計は、構造計算と構造図作成。合計数百ページにおよぶ納品物をつくる必要があり、おそらくは図面は下請けに出していたのではないだろうか。
法人税もろもろを考えると、一級建築士といえども苦しい経営を強いられていることになるのではないだろうか。
一部屋何千万も払うようなマンションでも、その末端ではこの程度の支払しかされていないのである。
私の知っている範囲でも、ある種の建築資材は10年前(既にバブル崩壊後だ)の半値にまで納入価格が下落している。
下請けに下請けを重ねている建築業界の構造のコストダウンはその末端に一番大きな皺寄せがくる。
特に今のような情勢では「イヤなら別のところにする」といわれれば、そのまま受けるしかない。
単に一個人という問題ではなく、そうした「無茶なコストダウン要求」というのが、今回の一番の問題であると考えなくてはなるまい。
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