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Nov 19, 2005

無防備地域運動

無防備都市運動というのがあるらしい。
ジュネーブ条約第一追加議定書の第59条「無防備地域」規程に基づき、あらかじめ無防備都市宣言を行い、一切の軍事活動に加担しないことで「地域全体がまるごと攻撃禁止になり、違反すると戦争犯罪になります」ということだと主張する。
だから、日本各地でこの無防備地域宣言を行えば、戦争に巻き込まれることはなくなり、平和が守られます、という理屈らしい。

えーと、どこからどうしていいものやら。
まず、軍事板定見問題さんのところを見ていただくと、いかにおかしな運動かがわかるだろう。
つまり、これは「敵に占領されそうな状態になった時」というのが前提で、「一切の抵抗をしないで占領されることを責任者が保証するから、攻撃しないで下さい」というのが主旨だ。
宣言運動の国際法・国内法的おかしさは上記に譲る。
仮にこれを宣言したとしてどうなるだろうか。
結果は無傷で敵軍に占領されるということになる。
確かに目前の戦闘は回避できるかもしれないが、自軍による奪回作戦があった場合、敵軍が同じように「無防備地域宣言」してくれるとは限らない。そうなれば、やはり戦火に巻き込まれる。
もし、奪回されないとしたら、自国──日本が敗戦する可能性が濃厚ということだ。
ちなみに、この無防備地域宣言はハーグ陸戦協定の「無防備都市宣言」の概念を都市だけでなく地域という面にまで広げたものである。
で、この無防備都市宣言をしたことで有名なのがパリである。

1944年、独軍パリ防衛軍司令官デートリッヒ・フォン・コルティッツ中将のはヒトラーの命令に反してパリを無防備都市宣言。パリは連合軍に無血開城した。
見事な「平和」ぶりだ。
が、その前を忘れてもらっては困る。
そもそもパリは1940年、ドイツ軍の侵攻に全く太刀打ちできなかったフランス・レイノー首相が無防備都市宣言したことにより、無血でドイツに占領されたのである。
以後四年間、ドイツ占領下で辛酸をなめている。
武力戦こそなかったものの、それは「平和」といえるだろうか?

1945年、沖縄県・前島が無防備都市宣言し、米軍は日本軍がいないことを確認すると占領せずに後退した。
が、これは、単にこの島が軍事的要地でなかったというだけにすぎない。
第一、沖縄でも小笠原でも無防備都市宣言に関係なく攻撃されていない島はほかにもある。そして、結果としてはアメリカの施政下という「占領」をうけ、祖国復帰まで30年近くを必要とするのだ。

1945年、無防備都市宣言をしたドイツ・ドレスデンは連合軍の無差別爆撃により3万5千人異常が死亡してした。
しかし、無防備都市宣言は占領しようとする行為に対するものであり、空襲に対しては効力ないから国際法違反でもない。

要するに無防備地域宣言をしたからといって平和だの安全だのが保証されるわけではない。
これは、地域単位で白旗をあげるから、攻撃しないで下さい、という降伏宣言を国際法に定めたというだけにすぎない。
決して平和も安全も保障するものではないのだ。

ところで、「あらかじめ無抵抗を宣言しておけば、平和が保たれる」という理屈、聞き覚えがないだろうか?
つまりなつかしの「先制降伏論」とか「非武装中立」というやつである。
この「無防備地域運動」は、国政レベルでは選挙民からも一顧だにされなくなった主張を、地方から復活させようというものだ。
この運動は一つの運動としてとりあげるのではなく、「プロ」の最近顕著な姿勢である“地方からの浸透”の運動の一つとしてとらえるべきだろう。

Posted at 19:55 in 社会 | WriteBacks ()
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