Jan 14, 2005

NHKへの圧力問題

まずは、報道をいくつか。
「政治介入で番組内容変更」NHKプロデューサー会見(読売新聞1月13日=YOMIURI ON-LINE=goo news)
NHK「政治介入」で変更指示…プロデューサーが会見(読売新聞1月13日=YOMIURI ON-LINE=goo news)
NHK番組に中川昭・安倍氏「内容偏り」 幹部呼び指摘(朝日新聞1月12日=asahi.com=goo news)

結論からいえば、どうもこのプロデューサーの政治的主張の流布行為及び売名行為ではないかと思う。

まず、事実関係を検証する。
朝日新聞の報道内容は突出しているが、他の報道とあまりに落差があるので、少々、あやしい。それを排除して考えていく。
まず、このプロデューサーが上司(幹部)の指示によって直前に編集を行ったことは間違いないだろう。通常の番組枠より短い放送になっていることからもそれは推察できる。
また、両者(NHK、安倍氏)が認めていることから、放送前に安倍官房副長官(当時)とNHK幹部が予算の点で会談をもったこと、当時、右翼が抗議するなどの問題がでていたこの番組について、話題になったことも事実だろう。
そして、安倍氏・中川氏とも普段の言動から考えて、この番組については面白からぬ感情をもっていただろうから、内容変更・中止させたいとは思ってはいただろう。
そして、一番肝心なところは、このNHKプロデューサー自身は安倍・中川両氏から直接の接触があったわけではなく、上司の言動から政治介入があったと判断したというところだ。

これらのことから、私が推理する事実は次のようになる。
・安倍・中川両氏は該当番組に対して好ましく思っていなかった。
・両氏の意向が何らかの形でNHKの幹部に伝わった。
・右翼からの抗議や予算(NHK予算は国会承認が必要)の時期でもあり、NHK幹部は厄介ごとをおこしたくないと、プロデューサーに番組内容変更を指示
・プロデューサーは頑強に抵抗。幹部は安倍・中川両氏の名前を出して説得。

つまり、明確な政治的介入があったわけではなく「ご意向を汲んだ」という実に日本的な展開だったのではないかと思う。
資生堂が波田陽区にかけた圧力よりはよほど穏当なものだっただろう。

だから、プロデューサーが政治的圧力があったと感じても不思議ではない。
が、純粋な告発というより売名や政治主張だと私が判断する理由がある。
内部告発機関が昨年9月にでき、そこに告発しても何も動きがなかったから会見したといっているが、そこまでするのであれば、4年前にでもできた筈だ。
だが、安倍、中川両氏がポスト小泉として力をつけてきたところでのタイミング。そして、この番組について取材先である民間団体などが「事前の説明とは異なる番組を放送され、信頼を裏切られた」として、NHKと制作会社2社に賠償を求めて提訴した民事裁判の控訴審で、東京高裁が17日の口頭弁論で結審予定だったというタイミングだ。そして、今回の問題が発覚したため、おそらく原告側敗訴だったであろう裁判の審理は継続される見通しとなったのである。
当然、このプロデューサーは裁判のことを知っているであろう。そんなに都合のいいタイミングでの記者会見に恣意性を感じないわけにはいかない。
そして、この番組は明らかに偏向している。
編集前の番組では民衆法廷(という名称自体が左翼用語ぽいが)で「日本兵による強姦や慰安婦制度は『人道に対する罪』にあたり、天皇に責任がある」と結論したという部分が含まれていたそうだが、それを開催したのは『「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク』という団体だ。
この団体は、第二次世界大戦中の「慰安婦」問題の被害者支援を活動の重点として提唱しており、新左翼である日本労働党の系列でもある。
その団体による模擬裁判形式では、裁判いう公正を装う形をとっているが、はじめから結論ありきの茶番であったといえよう。
それをそのまま批判なくテレビで流すというのは、明らかに“偏向”だとしかいえまい。このプロデューサー自身の意向が強く反映していると考えられる。
TVでそこまでやる行動力をもっている人物であれば、今回の出来事をそうした「政治運動」の一環として捉えるのが自然だろう。

私は、表現の自由は極力確保させるべきで、「ご意向」も含めて圧力・介入は避けるべきだと考えている。
だが、同時にマスコミが、その立場を利用して偏向した内容を公正であるかのように装って発信することも許されることではない。
今回の事件報道で、朝日新聞は放送法3条をあげているが、その直後にある3条の2も同時にあげておくべきだろう。

(国内放送の放送番組の編集等)
第3条の2 放送事業者は、国内放送の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
1.公安及び善良な風俗を害しないこと。
2.政治的に公平であること。
3.報道は事実をまげないですること。
4.意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

今回問題となっている番組は、これに抵触していないのだろうか?

追記
共同通信の記事の見出しは女性団体がNHKなど批判 経産相も指摘認める(共同通信1月12日=goo news)となっていたが、内容をよく読むと中川氏が指摘を認めたのは団体の「政治的圧力は許されない」という主旨を一般論として認めているということである。
この見出しでは、政治的圧力をかけたことを認めたように読み取れる。意図的なミスリードだろう。

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