Nov 02, 2005
新内閣・続
さて、新内閣ができたら、社説をチェックするのが筋(笑)というものだろう。 対照的な対特定アジア外交を抜き出してみよう。
【主張】小泉改造内閣 財政再建のかたち示せ 「負担の合意」が最後の仕事(産経新聞)
一方、対中国、韓国外交の行き詰まりを指摘する声がある。小泉首相の靖国神社参拝のため、首脳の相互訪問が実現していないことなどを、その理由としている。だが、相互訪問の実現によって懸案が片付くわけではない。首脳間で「友好」を確認するだけの外交ではあまり意味はないのだ。
「反日」運動を展開し、いまだに謝罪しない中国との関係は、国連安保理常任理事国入りなどをめぐって、日本と利害が対立した。こうした利害を調整し、国益に資する外交が必要だ。
[小泉改造内閣]「内と外の『危機』に立ち向かえ」(読売新聞)
首相は、麻生氏に対し、外相として取り組む課題の筆頭に、日米同盟の強化を挙げた。中国には、12月にマレーシアで開催される東アジア・サミットで当初、自国での開催にこだわったように、アジアでの覇権確立の意図がうかがえる。
日本は米国との同盟関係を一層強化して対応すべきである。「日米分断」を狙う中国を利する愚は避けることだ。
社説:小泉改造内閣 「郵政」論功に安住するな(毎日新聞)
小泉首相の靖国神社参拝問題で暗礁に乗り上げている近隣外交の先行きは不透明状態が続きそうだ。麻生太郎外相、安倍晋三官房長官はいずれも親米路線を優先させている。しかも、参拝問題では小泉首相に同調している。今後も対中国、対韓国関係は楽観を許されないだろう。
内閣改造 アジア外交が心配だ(朝日新聞)
不安になるのは外交の布陣である。これでアジア外交は立て直せるのか、大きな懸念を抱かざるを得ない。
(中略)
私たちが驚いたのは外交だ。首相の靖国神社参拝で中国や韓国との関係はこじれ、アジア外交は浮遊しつづけている。その正面に立つ外相にポスト小泉候補の一人、麻生前総務相を横滑りさせた。
麻生氏といえば、思い起こすことがある。03年、政調会長時代の講演で、日本が韓国を植民地にしていた時の創氏改名について、朝鮮の人びとが望んだかのような発言をして、韓国などの批判を浴びた。陳謝したものの「真意が伝わらなかった」と発言の撤回はしなかった。
この夏の月刊誌のインタビューでは、もし首相になった場合、靖国参拝をするかと聞かれ、こう述べている。
「普通にお参りします。韓国や中国にいくら言われても、泰然自若としていればいい。彼らが『これ以上、この問題を言い立ててもしょうがない』と悟って、自然に丸く収まるのが、一番理想的な形でしょう」
今後はもっと慎重な発言になるのかもしれない。だが、近隣国とのとげとげしい関係を修復する役回りにふさわしい人選とは思えない。
もうひとりのポスト小泉候補、安倍前幹事長代理は官房長官になった。
最初の記者会見で、自らの靖国参拝について「国民のひとりとして、政治家として参拝してきた。今までの気持ちをこのまま持ち続けたい」と、今後も参拝を続ける可能性を示した。
小泉政権でも、外交的な配慮から歴代の外相と官房長官は参拝を控えてきた。新内閣では3人がそろって参拝するということなのだろうか。
その一方で、この人事からはずれたポスト小泉候補がいる。中国との関係を重視し、首相の靖国参拝に批判的だった福田元官房長官だ。
靖国問題で譲る気はない。関係修復はそのことを前提に考えましょう――。今回の布陣から、中韓などが首相の意図をそう読み取ったとしても無理はない。
国内では改革継続の旗を振り、アジア外交の停滞には目をつぶり続ける。この小泉路線があと1年続く。その痛手の深さが心配である。
わかりやすいまでにわかりやすいが、その中でも朝日新聞は、社説の主題に据えるほどの力のいれようだ。しかし、表題が「アジア」でありながら中身は中国と韓国しかでてこないところが、さすがすぎる。それも、ひたすら日本側に非があるというのが理解不能だ。中韓は無謬なのだろうか?
毎日新聞は抑えた論調ではあるが「近隣外交」といいながら「中韓」だけであり、靖国参拝問題だけがネックであるかのような表現をしており、根っこは朝日とかわらない。
読売新聞、産経新聞は、きちんと外交と国益を把握した社説になっているといえよう。
特にいうべきことはない。
朝日新聞や東京新聞はこれを機に靖国参拝問題を復活させたいようだが、既に参拝が行われ「実害」が出ていない状況では、盛り上がりに欠け、すぐに下火になってしまうだろう。
もはや焦点は来年の小泉首相の任期切前──来年9月のそれの直前である8月15日に参拝するのかどうかに絞られたといっていいだろう。
余談。
マスコミは事前には「小泉首相と安倍氏の間に隙間風」などいっていたが、それは何の話だったのだろう?
逆に小泉首相と福田氏との間の方がすきま風らしい。福田氏は森氏に閣僚ポスト固辞を伝えたとも、森氏は福田氏の入閣を強力に推薦したとも情報が錯綜しているが、いずれにせよ、距離を置いたということは事実だろう。
福田氏は故・福田赳夫元首相の息子だが、福田赳夫といえば、岸信介・佐藤栄作の嫡流の右派で通っていた。前政権である田中角栄の日中国交回復をうけて日中平和有効条約を結んでこそいるが、本来は台湾派(中華民国派)であり、首相在任中には8月15日を含む合計4回、靖国神社参拝も行っている。それなのに、福田氏は親中派と称され、靖国神社参拝に慎重派となっている。
血筋を受け継いだのは福田氏かもしれないが、思想を受け継いだのは福田赳夫の秘書であった小泉なのかもしれない。
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