Aug 22, 2005

自民党マニュフェスト斬り

自民党のマニュフェストが発表された。
これを検討してみたい。
余談だが、民主党のものよりもずっと見栄えのするもので、このあたり大したものである。また、項目付や階層構造も統一されており、民主党のマニュフェストよりずっと引用しやすかったのも付記しておこう。

1.日米同盟基軸の外交

日米同盟と国際協調こそ日本外交の基本です。
107.中国・韓国など近隣諸国との関係の改善強化とアジア「共同体」構想の推進
 北朝鮮問題の解決、中国・韓国等との未来志向型の連携を強化し、アジアにおける「共同体」の構築を推進する。
108.領土問題の解決への努力と海洋権益の確保
 北方四島と竹島問題については、粘り強くその解決を目指す。また、東シナ海での海洋資源開発および大陸棚調査の推進など、わが国の海洋権益を確保する。
109.「拉致問題の解決」に向けさらに努力

日米同盟を基軸とはっきりと打ち出してているところは、さすがに政権与党。現在の国際情勢で最も国益に即した関係を前面に押し出している。 また、尖閣の名前があがっていないところは不満ながら、領土問題・東シナ海資源問題で引かないことを示した姿勢が評価できる。 アジアにおいては中国と韓国しか名前が出ていないことは不満であるが、「未来志向」という言葉は「過去の謝罪」というネタに囚われないことを示しているのだと思う。また、「東アジア」ではなく「アジア」というところがミソだ。中韓だけがアジアではないとこうことを暗に主張している。

2.防衛力整備

111.防衛庁を「省」に、自衛官に一層の名誉と誇りを
112.国の防衛体制の整備と日米安保体制の強化
115.国家の情報収集能力の向上
116.自衛隊の海外での国際協力活動の推進

民主党と異なり、自衛隊の役割をきちんと明記していることは評価できる。
特に111は注目すべき公約であり、自衛隊を軍として格上げするためのステップとして読みとれるのは私だけであろうか。

3.小さな政府?

001.郵政民営化に再挑戦
002.規制改革の強力な推進
003.行政スリム化とプログラムのスイシン
 2)官業の民間解放の推進
 5)情報通信技術の活用:ITの活用により抜本的な業務改革を行い、内部管理要員の三割以上の削減につなげる。
005.国家公務員に関する改革を実施
 2)総人件費削減
007.政府関係法人の合理化および効率化を実施
009.歳出・歳入一体の財政構造改革を実現
 7)税制の抜本的改革
  (前略)所得税については、所得が捕捉しやすい「サラリーマン増税」を行うとの政府税調の考え方はとらない、なお、
  ・18年度において、三位一体改革の一環として、所得税から個人住民税への制度的な税源移譲を実現する。
  ・19年度を目途に、社会保障給付全般に要する費用の見通し等を踏まえつつ、あらゆる世代が広く公平に負担を分かち合う観点から、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現する。
017.三位一体改革の推進
018.市町村合併をさらに促進
019.道州制導入の検討を促進
020.地方の行政改革

マニュフェストの表紙で「郵政民営化=小さな政府」と明記しており、自民党がそれを目指していることは、明確である。公約の一番最初で「郵政民営化」を掲げているのも、主張の通りだ。
その他の公約も、この「小さな政府」を目指すものとして方向性は統一されており、矛盾はない。
しかしながら、郵政民営化以外は具体策に乏しい。また「小さな政府」と逆行しそうな、補助金をばらまきそうな項目──「テーマ2:【国際競争力・成長分野】」「テーマ4:【われわれの子どもたち】」も具体策に乏しいため、耳障りのいい言葉を並べているだけという観がある。
また、増税が既定路線でありながら、それを隠そうと言い回しに苦労しているのがわかる。まあ、増税を打ち出して選挙に勝てるほど、選挙民というものは成熟していないことは、大平内閣時の「ハプニング解散」でも証明済であるから、やむをえないところか。

4.人権関係

021.男女の雇用機会均等などをさらに進め男女共同参画社会を実現
074.テロの未然防止と対処能力の強化
075.出入国管理の厳格化
076.不法滞在者の半減
078.簡易・迅速・柔軟な救済を行う人権救済制度の確立

人権うんぬんより、治安を優先させるように読み取れる公約は頼もしい。私の主張とも近似していおり、支持できる。
その一方で、021の公約は、歪んだジェンダーフリーを推進させるのではないかという危惧があり、078では人権擁護法案の影がちらつく。
要注意であろう。

5.その他評価点

025.子どもたちの未来のために教育基本法を改正
 教育基本法を改正し、豊かな上層と道徳心にあふれ、正義と責任を重んじ、伝統文化を尊重し、郷土や国を愛する心や公共の精神が身に付く教育を実現するとともに、家庭や地域の教育力の回復を期する。教育振興基本計画を策定し、わが国の目指すべき教育を進める。

これは全面的に肯定できるところだ。
公明党の反発で苦労しているようだが、是非とも実現してほしいところだ。

まとめてみると、問題点は少なくない。
しかし、民主党よりは遥かにベターなマニュフェストであるといえる。
ベストには物足りないが、民主党と比較して、どちらに投票するかと問われれば、私は自民党を選ぶ。

Posted at 01:51 in 政治 | WriteBacks ()
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