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Aug 17, 2005

民主党マニュフェスト斬り

民主党のマニュフェストが公開された(→PDF)。
が、これがあまりにもお寒い内容なので、ぶった斬りさせていただきたい。 なお、毒にも薬にもならないような、おためごかしな部分は、ハナから省略させてもらう。そうしないと、ほとんど全文引用になりかねないからだ。

1.ひたすら中韓に媚びる姿勢

・日本はかつて戦争への道を選び、国民に深刻な犠牲を強いたのみならず、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して植民地支配と侵略によって大きな損害と苦痛を与えました。私たちは、この歴史の事実を謙虚に受け止め、率直な反省と謝罪の気持ちを忘れません。60 年前の戦争の検証を政府が中心になって行います。
・日中関係を再構築します。
・日韓関係を強化します。
・東アジア共同体の構築をめざします。
 アジア地域における相互協力と信頼醸成をすすめ、FTA・EPA(経済連携協定)の締結を推進し、農業分野などの貿易面のみならず、人の移動の自由化、エネルギー、環境、教育、保健、犯罪対策など、さまざまな分野でアジア各国・地域との連携と協力を強化します。アジア地域を不戦地域とすることを各国共通の目標とすることをめざすとともに、将来的にはアジア・太平洋を含む姿に拡大・発展させることを展望します。
・国籍要件などの影響で、無年金、低年金となった高齢者(在日外国人、在外邦人)に対しても、老齢福祉年金などに準じた給付を行えるようにします。
・近年の原油価格の高騰、中国を含むアジア諸国などのエネルギー需要の高まり、地球温暖化対策の必要性などにかんがみ、日中韓とロシアを含む東アジア・北太平洋地域における環境・エネルギー分野での国際協力を推進します。

ひたすら中韓に謝罪と賠償を行おうとでもいうのだろうか?
中韓の主張はほとんど根拠のないものばかりであることは、今更、いうまでもないだろう。
そんな前提で要するに日中韓(北朝鮮)で同盟を構築しても、いいように国力をむしりとられるだけである。
もっとも、岡田代表のビジョンによれば『私たちが実現すべき望ましい世界とは、東アジア共同体が実現し、中国が責任を持って国際社会に関与する、平和で豊かなアジアであり、米国が国際協調を重視する路線に復帰し、軍事力の行使は国連安保理決議に基づいて行われるという集団安全保障の規範化が浸透した、秩序ある国際社会である』『日本はそのような望ましい世界を実現するために国連安保理常任理事国となり、自国の防衛、アジア太平洋地域の安定、国際社会の平和と繁栄のために建設的な役割を果たしていなければならない。新しい日本は、近隣諸国との間で相互信頼感を高め、「アジアと米国の連結器」の役割を果たしている。日本の魅力は今以上に高まり、アジアと世界の尊敬と注目を集めているだろう』とあり、アジアの盟主は中国であり、日本はその追随国であるべきだというのが、本当の主張であろう。
しかし、この主張、奇しくも韓国の「北東アジアバランサー論」と酷似している。現実の外交が見えないと、国が違っても発想は一緒になるということだろうか。
また、「アジア重視」を言う割には、具体的な国名が中国と韓国しか出てこないあたりが、見事な偏りっぷりである。

2.靖国代替施設建立

・これまでに戦争で犠牲になった方々や、国際公務に携わる中で不幸にして命を落とした方々のための国立追悼施設を建立します。

論外。 なぜ、靖国でなくてはいけないかということは、この中で述べると長くなるので語らないが、靖国参拝をしないということは明確に理解できる。

3.日米同盟の希薄化

・単に米国に追随するだけでは、真の日米同盟強化に寄与しません。日本国民やアジア・太平洋諸国の声を米国に伝え、必要な場合には米国に自制を促すことが、アジア・太平洋地域の公共財としての日米同盟の価値を高めることになります。
・安全保障上の諸課題について、日米同盟が「安定力」として十分に機能するよう、日本の主体性を前提にして米国との防衛協力を推進します。
在沖縄海兵隊基地の県外への機能分散をまず模索し、戦略環境の変化を踏まえつつ、国外への移転をめざします。
・自衛隊の派遣期限が切れる今年12 月までに、イラクから自衛隊をすみやかに撤退させます。

民主党の普段の主張、1であげた東アジア共同体などを考え合わせれば、これは要するに米国と距離を置くということである。
もちろん、これが、米に頼らない安全保障体制を樹立するなどという話に繋がるのであれば、評価の仕様があるのだが、中国に追随する国家になるためだということになるのだから、論外であろう。

4.国連

・世界の平和と安定に貢献します。
 国連など国際機関の強化を図ります。
・国連の要請に対しては、新たな「国際平和協力隊(仮称)」の創設などについて検討をすすめ、日本として国際平和の維持・構築に正面から関与できるようにします。
・PKOに関しては、多様化する協力要請に対応するため、派遣される隊員の武器使用基準や、参加条件・規模・期間などに関する国会の関与のあり方を見直します。

なぜ、わざわざ自衛隊と別の組織をつくる必要があるのかわからない。
国連への幻想をもっているのもさることながら、国連の要請にこたえるのであれば、PKOうんぬんではなく、PKF参加を主張すべきである。そして、集団的自衛権の話にまで踏み込んでいかねばらない筈だ。
つまるところ、国連の民主党の主張に都合のいい部分だけをつまみ食いしただけだ。

5.防衛力削減

・弾道ミサイル防衛については、その必要性を踏まえ、シビリアン・コントロールを徹底しつつ、費用対効果などを含め総合的観点から検討をすすめます。これらに必要な予算は、防衛予算の中での振り替えで対応し、負担増を抑えます。

弾道ミサイル防衛には莫大な費用がかかる。
それを、現行の防衛費の中からまかなうとすれば、現有装備・人員の大幅削減は免れない。実質的には、防衛力の削減の主張である。
弾道ミサイルは防げても、通常兵力が防げなくなっては意味がない。

6.大きな政府?

・「危機管理庁(日本版FEMA)」の創設により、武力攻撃、テロ、大規模自然災害など、各種の緊急事態に迅速に対応できる態勢を整えます。
・基礎年金国庫負担率引き上げは予算の徹底的な見直しで2008 年度までに国庫負担率を2 分の1 に引き上げます(所要額2 兆7000 億円)。
・雇用保険特別会計の安定を図るとともに、失業給付期間が終わっても就職できない人や、自営業を廃業した人などを対象として、能力開発訓練を拡充し、最大2 年間、月額10 万円の手当を支給する法律を制定します(所要額2500 億円)。また、倒産やリストラで失業した人が安心して医療を受けられるよう、医療保険料を離職後1 年間軽減します(所要額25 億円)。
・「ヤングワーク・サービスセンター(仮称)」を整備し、失業・無業状態の若者に個人アドバイザーによるマンツーマンの就労支援、民間企業での職業訓練などのプログラムを用意し、必要に応じて就労支援手当を1 日1000 円(月3 万円程度)支給します(所要額360 億円)。学校にも行かず、職にも就かず、職業訓練も受けていない「ニート」と呼ばれる若者が集まることのできる場所をつくり、相談・支援を行います。また、全国の中学2 年生に年間5 日以上の職業体験学習を実施します(所要額17 億円)
・月額1万6000 円の「子ども手当」を創設します(所要額3 兆円)。
・「出産時助成金」を創設します(所要額2200 億円)。
・現在、約1 万4000 カ所で行われている学童保育を4 年間で2 万カ所に増やし、指導員も5 万人から6 万人へと増員します。さらに、父母の就業実態にあわせた保育時間の延長などを含め、待機児童解消に向けて、少なくとも960 億円の予算を確保します。
・日本小児科学会が提案する「小児医療・救急医療計画」モデルなどを参考にして、小児医療・救急医療体制の整備を行います(所要額10 億円)。
・子どもや家庭の問題について、一元的に政策立案・遂行する「子ども家庭省(仮称)」の設置に着手します。
・OECD加盟国平均並みの教員配置(教員1 人あたり生徒16.6 人)をめざします。
・土曜学校・放課後学習などを支援します。
・義務教育財源を確保します。
・私立生は、公立生に比べ著しく公的支援が少なく(約3 分の1)、その保護者に過重な教育費負担を強いています。この公私間格差是正のため、私立通学者に対して、直接授業料補助などを行います。
・希望者全員奨学金制度を実現します(所要額600 億円)。
・道路公団を廃止し、高速道路を原則無料化します。高速道路に係わる債務返済と道路の維持管理には、年間2兆円の財源が必要ですが、国と地方を合わせて約9 兆円の道路予算の一部振り替えと、渋滞・環境対策の観点から例外的に徴収する大都市部の通行料でまかないます。
・強制減反の廃止と米の備蓄300 万トン体制の実現
・人工林の管理・充実をすすめ、間伐などの森林整備を計画的に行い、10 年間で1000 万ha の森林を再生することをめざします。政権獲得後ただちに年次計画を策定し、初年度に1000 億円、4年後には2500 億円の予算を充当します。
新エネルギー関連の予算を計画的に増額し、現行の年間約1700 億円から任期中に3000 億円へと増額をめざします。自然災害による被災者を対象に、住宅本体への再建支援制度を確立します。
・警察を監督する公安委員会の事務を警察が行っているという矛盾を解消するため、警察法改正案を提出し、国家公安委員会・都道府県公安委員会に独立した事務局を設置します(所要額48 億円)。
・警察官の3 万人増員により、落ち込んだ検挙率を回復させます。 ・すべての無年金障がい者を「特定障害者特別障害給付金支給法」の救済対象(現在は元学生、主婦)とすることにより、無年金障がい者に基礎的な所得保障を行います(所要額900 億円)。

やたらに景気のいい数字が踊っている。
さらには、減税政策もある。

・「ローン利子控除制度」創設 ・株式の長期的保有を促進・拡大するための配当課税の廃止・軽減や、ベンチャー企業に対する投資額の一定割合の税額控除などの金融・証券税制を検討し、すみやかに実現します。

では、財源はどうするのかというと

・税金の使い道は地域で決められるよう、18 兆円の税財源を移譲します。
・ムダづかいの社会保険庁は廃止します。
・3 年間で10 兆円の歳出カット、国債発行額30 兆円未満、プライマリーバランス赤字の半減を実現します。
・「国家公務員人件費総額2 割減(1 兆円)、特殊法人向け支出半減(1.8 兆円)、現在の個別補助金の一括交付金化に伴う2 割減(2.8 兆円)、税源移譲に伴う交付税削減(1.7 兆円)、その他経費の1 割削減、特別会計の徹底的な見直しなどによって、17 兆円の既存経費カットを実現します。」
安定的な経済成長の実現を条件に、年金目的消費税の導入によって確保します。
地球温暖化対策税を創設します。
・国・地方を問わず、政府も効率性と機能性を追及しなければなりません。分権の推進、「生活利便向上テスト(○○頁参照)」などを通じた「官」の役割の見直し、国民の理解を得られない諸手当の廃止、人事計画に基づいた定数削減、給与水準の見直しなどを順次すすめ、3 年間で国家公務員人件費総額を2 割削減します。

ということになる。
いや、無理だろう。
新しい組織をつくったり、補助金を増やす(事務が増える)のに、公務員人件費削減というのは矛盾している。
また、「増やす」ほうは事細かに解説しているのに、「減らす」方は総論的で中身がわからない。反発を防ぐためか、実際に細かい中身が決まってないのかわからないが、実にセコイやり方だ。
いずれにせよ、これらの民主党の政策からは、地方への税源移譲という題目以上には、何ら現状の改革が見られない。むしろ、組織や補助金を増やす従来型政治の拡大でしかないだろう。
この有様では、民主党は大きな政府を指向していると言われても仕方がない。

7.郵政改革(!)

・現在340 兆円ある郵便貯金と簡易保険を適正規模に縮小します。
1)2006 年度中に郵便貯金の預入限度額を700 万円に引き下げます。
2)同時に、名寄せを徹底し、預入限度額を超える分については個人向け国債などに振り替えます。
3)その後、預入限度額をさらに500 万円に引き下げます。
4)8 年以内に郵便貯金220 兆円を半減させることを目標とします。
特殊法人などに対する補助金3.5 兆円を3 年間で半減させ、郵貯・簡保資金のムダづかいを元から断ちます。
・郵便貯金・簡易保険を適正規模に縮小した後は、政府系金融機関との統合も含め、あらゆる選択肢を検討します。

産経新聞社説(8月17日)読売新聞社説(8月17日)などでも既に指摘されているが、民営化という文字は一言もない。これでは、小さな政府を指向するおはお世辞にもいえまい。
また、既に竹中大臣などにも指摘されているが、収益の柱である郵貯・簡保資金を縮小は、すなわち利益の減少である。仕事が減すのだから、担当している人員も削減しなくてはならなくなるし、収益が減少すれば、郵便事業の赤字がカバーできなくなるおそれがでてくる。その一方で、郵便事業を国の責任で全国的サービスを維持するというのであれば、税金を投入するしかなくなる。
また、これも指摘されているところだが、民主党が度々主張する「過疎地域で郵便局だけが金融機関となっているようなところ」に対するフォローが民営化ではなくなるということだが、郵貯が縮小されれば、そうした地域の「溢れる」貯金はどこにいけばいいというのだろうか??
つまるところ、民主党は民営化反対(少なくとも積極的な民営化はしない)なのであり、税金を投入してでも郵政を国営で維持するというように読むのが普通であろう。

8.人権問題

・子どもたちを有害情報から守ります。
 残虐な暴力や性暴力などの有害情報から子どもを守るため、書籍の区分陳列や放送時間帯の配慮などによって、普通に暮らす子どもたちが有害情報に触れないですむ環境をつくります。そのため、「特定暴力情報等からの子どもの保護に関する法律」を制定します。また、情報社会に生きる子どもたちが、情報のもつ意味を正しく理解し、活用できる能力(メディアリテラシー)を育むような教育をすすめます。
・差別の解消をめざす法律を制定します。
 社会に残っているさまざまな差別を解消するため、すべての障がい者に「完全参加と平等」を保障し、具体的な差別の禁止を規定する「障がい者差別禁止法」、年齢を理由とした就職差別を禁止する「年齢差別禁止法」など、差別解消のための法律の制定をめざします。法務省から独立した人権委員会の設置などを盛り込んだ「人権侵害救済法案」を成立させます。
・人権侵害の救済へ向け国際機関への個人通報を制度化します。
人権侵害の救済機会を広げるため、国際機関に対し個人が直接、人権侵害の救済を求める制度(個人通報制)が求められています。政権獲得後すみやかに、個人通報制を認める「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の選択議定書」と「自由権規約選択議定書」を批准します。
・盗聴法、住基ネット法、個人情報保護法を見直します。
政権獲得後ただちに、盗聴法の運用を凍結し、2 年以内に抜本改正の法律案を国会に提出します。また、住民基本台帳法の住基ネット条項と個人情報保護法についても、即時に見直しに着手し、抜本改正のための法律案を国会に提出します。

そろそろ突っ込むのにも疲れてきました。
心地のいい言葉で、新たな検閲法律をつくろうとしていますし、悪名高き「民主党版・人権擁護法案」をあきらめていないこともよくわかります。
「盗聴法」というレッテル張りもまだやってったんだ、という感じでしょうか。
納税者番号制度の導入は公約するのに、住基ネット法は見直す(普段の主張からすると廃止方向ということでしょう)というのもわけがわかりません。
民主党は縦割り行政の廃止を訴えていますが、縦割りの解消の基本は「情報の共有」です。そのためには、何らかの形で個人の情報をユニークキーで統制することが必要にもなってくるわけですが、そうした矛盾には気づかないのでしょうか?

最後に、評価できる点をあげておきましょう。

・ODA(政府開発援助)を戦略的に活用します。
・北方領土問題の早期解決に取り組むとともに、尖閣諸島・竹島を含むわが国の領土・領海、排他的経済水域を守るため、国連海洋法条約に基づく「海洋権益確保法制(資源探査等主権行使法案など)」の制定をめざします。
・拉致事件の解決は、日本の主権、国際的人権侵害の見地から喫緊の課題であり、被害者・家族全員のすみやかな帰国、特定失踪者問題の真相解明など、拉致事件の全面解決を北朝鮮に強く迫ります。
・インターネット選挙運動を解禁します。

……あれ、おわっちゃった(笑)
実際問題、今後、自民党のマニュフェストが発表されてくれば、それもまた色々と問題を含んでいるものになるでしょう。
ですが、「東アジア共同体」「中韓への謝罪」「靖国参拝せず」「日米同盟希薄化」「人権擁護法整備」「お粗末な郵政民営化“対案”」「“小さな政府”は指向していない」と私にとっては、重要視している項目が軒並みアウトである。
こんなマニュフェストではとても民主党には投票できない。

Posted at 11:51 in 政治 | WriteBacks ()
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