Feb 15, 2005
サラブレッドだからこそ?
先日(14日)、TBS系の報道番組、NEWS23に自民党・安倍晋三氏が出演した(この模様はIrregular Expressionさん(gori氏)がテキスト化されているので、未見の方はご参照下さい)。
注目は、朝日vsNHK問題。
キャスターの筑紫氏は「NHK幹部が、当時安倍さん官房副長官で、首相官邸にやって来て予算や番組のまだ放送されない、まぁその番組について説明をするという、この政治家とその報道機関との関係がこりゃやっぱり変なんじゃないかと言う声がありますが」と政治家と報道機関の一般論に話をもっていこうとする。
しかし、安倍氏は「全く事実が違うという事になればですね全然これは様相が変わってくる」とあくまで問題は記事の信憑性であるということを首尾一貫。
「という事はご存知だったんですか?(番組内容を)事前に?」という言質をとろうとする、あるいはミスリードしようとする質問にも「もちろん番組は見たこと有りませんけども。そういうのが話題になっていると言うのは私だけでなくて多くの国会議員皆知っていました。10日も前に編集作業が始まっているという事は(2005年)1月12日の朝日新聞には一切書いていない」と明確に反論。
果ては、安倍氏が朝日が捏造と、それをなかなか認めなかった例として「珊瑚事件」を持ち出せば「あの時、社長が辞めた訳ですから、そうすると安倍さんは今そう仰ってるのは、あと何日間で社長は辞めるべきだとそういう風に聞こえかねない」と筑紫氏は曲解してまで、一般論によるミスリードを試みる。が、安倍氏は「朝日の記事の信憑性」に焦点を絞り、筑紫氏につけいる隙を与えないまま終了した。
安倍氏のこのディベート能力の高さは、日本の政治家としては特筆に価しよう。
この能力の気質は、彼の(いい意味での)お坊ちゃん育ちにも影響していよう。
石原慎太郎などにも見られるが、周囲と妥協して波風をたてないようにするよりも、正論は正論なのだから、と押し通そうとするところだ。
また、やはり、祖父・岸信介、大叔父・佐藤栄作、父・安倍晋太郎の存在は大きかったに違いない。
安倍晋太郎は、中曽根後継一番手といわれながら、竹下に遅れをとり、やがて病に倒れた。外相としての評価は、ほとんど中曽根にとられた形になった。
佐藤栄作は、その退陣に際して、「新聞は偏向している。出ていってくれ。テレビはどこだ」とテレビカメラに会見し続けたのは有名だ。新聞が佐藤に対する批判報道ばかりだっただけでなく、返還交渉過程の密約を書き立てたり、沖縄返還を批判ムードだけで取り上げたことからきているのだろう。
そして、岸信介は「今も後楽園球場は人でいっぱいだ。国会前に来ているのはわずかだ。多くの声無き声は実は我々を支持している。」と60年安保の時に発言した。
もっといえば、森派の元である福田派の領袖・福田赳夫は、総裁選において有利をマスコミに伝えられながら、結果は大平正芳に勝利を奪われ「天の声にも変な声がある」と言って首相の座を去った。
このように、マスコミと永田町とマジョリティな世論と声の大きい世論とが一致しないということを安倍晋三は近くで知っているということになる。
一方で、岸は後に「安保騒動の時、自分は『声なき声』が自分を支持していると言ったが、それは多少思い上がった発言だった。『声なき声』を『声あらしめる』ことが大切で、そのことは歳をとってくるとだんだん分かってくる」と述懐したという。 これを、岸派を源流とする森派の小泉とともに、安倍は忠実に守っているのだ。
ちなみに、父方の祖父・安倍寛は、大政翼賛選挙において無所属で出馬して当選した気骨ある政治家であり、その血筋も受け継いでいるといえるのかもしれない。
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