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Sep 29, 2004

第二次小泉内閣と自民党

 第二次小泉内閣自民党新三役の体制が発足した。
 今回は、これを自民党内力学の観点からまとめつつ、眺めてたい。

 今回、最も厚遇されたと受け止められているのは、山崎派である。  落選・浪人中の山崎拓が首相補佐官に任じられ、古賀氏辞職に伴う補欠選挙へのアシストを行うとともに、大臣ポスト2~3に匹敵するといわれる幹事長を手に入れた。
 防衛長長官にも同派の大野功統氏が起用されているが、これは念願の初入閣(当選6回)を満たしつつ、大きな転換期を迎えている防衛政策において小泉首相と同じ考え(党内右派)という巧みな人事というべきだろう。

 また、自派である森派の伸長も著しい。
 閣僚数を3から5に伸ばしている。
 ただ、法務・南野知恵子(参院3期)、環境・小池百合子(留任・4回、参院1期)については女性閣僚という意味合いでの登用で、これは他派への言い訳になるのだろう。
 注目は外務・町村信孝だ。就任早々から果敢な発言をしており、手腕が期待される──腰砕けにならないといいが。

 高村派は14人という小派閥ながら、村上誠一郎が入閣、閣僚ポストが復活したので、まずは勝ち組といえるだろう。
 また、15人の小里派が留任で財務・谷垣禎一孝、11人の河野グループも総務・麻生太郎が留任というところは、相応といえる。

 堀内派は国家公安委員長・村田吉隆の一人にとどまった。
 閣僚数がかわらず、党三役を失っているため、「降格」ということになろう。
 この派の実力者であり、反小泉の古賀誠に対する意趣返しということか。
 また、領袖・堀内光雄と古賀の間に確執があるといわれている上、伝統的に“お公家集団”と揶揄される喧嘩下手の派閥であるから、舐められているということかもしれない。

 ある意味で負け組筆頭なのは二階グループ(旧保守新党系)。  自民党に合流したことで、選挙は戦えたが、案の定、党内では全く存在感を示せずに埋没。扇・海部という全国的に名の通った看板はいるものの、グループとしての解散は間近だろう。

 一方、亀井派は、1つポストを失い、経済産業・中川昭一(留任)と農水・島村宜伸となっている。
 島村の入閣で、最低限の面子は保てた亀井だが、自身の入閣・三役はならなかった。
 これで、小泉・亀井密約も期限切れになったらしく、亀井は反小泉活動を再開する模様だ。
 ただし、亀井派は旧中曽根(江藤)系と亀井系の間に亀裂が生じている。
 そもそも亀井グループは三塚派が森派になる際に対立して分派したグループであるため、今の小泉=森派とそりがあうわけはなく、常に反小泉予備軍という存在だ。
 だから、いっそ最初から冷遇してしまうというのは、ありえる手である。
 また、同じく旧中曽根派である山崎派を優遇することは、旧江藤系に対して、亀井系との分断をうながすサインと読むのは、うがちすぎだろうか。
 そうなれば、亀井が反小泉行動を激化させようとしても、派内対立で動きがとれないということになるからだ。

 さて、“最大派閥”の旧橋本派である。
 実は冷遇されているという印象を与えているが、閣僚ポスト自体は1人増で、厚生労働・尾辻秀久(参院)、科学技術長長官・棚橋泰文、金融・伊藤達也という布陣だ。
 しかし、“順当”といえるのは参院枠の尾辻のみである(青木参院議員会長への最低限の配慮か?)。
 伊藤は当然4回の43才、棚橋にいたっては3回の41歳という若手議員であり、旧橋本派が望んでいたであろう入閣待望組(例えば青木参院議員会長が推薦していたという額賀福志郎前政調会長)とは全く異なる。
 派閥の“うまみ”は「金とポストの分配」にあるのだが、こと旧橋本派については、そのポストの分配機能を不全にしてしまった。
 「旧橋本派のポストを増やしました」というエクスキューズを用意しながらも、実際には、旧橋本派を無視しているという、そういう人事だ。
 こんな人事を可能にしたのは、やはり、日本歯科医師会から旧橋本派への1億円ヤミ献金事件であろう。
 これにより、橋本龍太郎は派閥会長から退くことを余儀なくされる一方、新しい派閥会長が決まらない迷走ぶり。さらに、組閣直前の27日には、元官房長官の村岡兼造被告とを在宅起訴、野中広務元幹事長が起訴猶予ということになった。
 さしもの旧橋本派も、これでは“自粛”するしない。
 そして、仮に反小泉で活動して、首相を追い詰めれば、解散できって返され(かつて、大平総理がこうした行動をしたことがある)る可能性があり、こうした疑惑の中では、多くの落選を生みかねない。従って、旧橋本派あまり強く出ることができないというわけだ。
 こうなると、27日の起訴、起訴猶予のタイミング自体、小泉に都合が良すぎる。
 あるいは、彼(もしくは側近)による日付の指示があったのではないだろうか。

 さて、こうした一方、自民党筆頭副幹事長には旧橋本派・佐田玄一郎(当選5回)、衆院議院運営委員長・川崎二郎を充てた。佐田・川崎は郵政民営化反対派の有力議員であり、これは郵政民営化で暴れないようにするための取り込みであると思われる。
 また、国対筆頭副委員長には旧橋本派・小坂憲次(当選5回)、経理局長の堀内派・岸田文雄は留任。国民的人気の高い安倍晋三前幹事長は降格ならが幹事長代理に就任させている。

 こうやって通してみると、なかなかしたたかな人事といえよう。
 反対派を懐柔するよりも、味方派を多くすることに留意し、かつ、反対派に対するエクスキューズや縛りも準備しているからだ。
 これならば、大きなスキャンダルがでない限り、小泉政権は任期満了まで続きそうだ。

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