Apr 13, 2005

第3セクター反日デモ

中国で反日デモが相次いでいる。
中国首相「日本政府は深い反省を」(産経新聞4月12日=Sankei Web)では、「アジアの人々の強い(拒否)反応を受け、日本政府は深く反省するはずだ」と温家宝・中共首相が述べたそうだが、アジアというのは中国と韓国しかないのだろうか。
温首相が滞在しているのは、インド・ニューデリーだが、世界第二位の人口をもちアジアの一角を占めるインドでも反日でもがおきているのだろうか? そうであれば、是非とも、新華社でも報道してほしいものだ。

閑話休題。
今回のデモは官製なのか民製なのか、あるいはどこまでが政府のコントロールで、どこから暴走なのか。様々な見解があるようだが、私も推理してみたいと思う。

まず、人数から見ると、北京で1万人。広州では当初三千人が、デモ中(道路移動中?)に多くが合流して三万人になった。
では、この数字はいかばかりのものなのか?
GLAYの北京ライブは3万5千人。これからすると、北京の人数はかなり見劣りする。広州でもそれには及ばないが、同時期におきた別の“暴動”と比較してみよう→中国で3万人暴動 公害に抗議、2人死亡(産経新聞4月12日=Yahoo! NEWS)。これは、公害への抗議が暴動となったものだが、中国浙江省東陽の“村”でのことだという。都市部より人口は少ない筈である。
となると、広州は当初2千人だったということからも考えて、政府が動員をかけたような人数ではないと見る(それなら、もっと動員している筈だ、ということ)。
つまり、発端は、確かにWebサイトなどの呼びかけによる「自発的」なものだったと私は考える。
しかし、中国には言論の自由も集会の自由もない。この反日集会を許可(黙認)したということは、そこに利用価値を見出したからに他ならない。

さて、広州のデモは途中で人数を増やしたというが、これは多分に野次馬的なものが入っていると思われる。
日系スーパーの前で警察部隊ともみ合いしていたが、日本の安保闘争を思い出していただければわかるように、本当に万単位の群集が強行突入をはかろうとしていたら、あんなものではすまないからだ。つまり、本当に“行動”をしていたのは、相変わらず2千人程度だったのではと予想する。
ただ、“観客”が想像以上に増えてしまい、引っ込みがつかなくなった。かといって、スーパーに対して本当に強行突入をしたり、破壊につながるような投石をすれば“やりすぎ”になってしまう。そこで、妥協案としてとったのが「看板破壊」で、あれはデモ(暴動)を幕引きさせるための、おそらくは中国治安部隊による「やらせ」であったのではないかと想像する。
なにせ、スーパーは翌日以降は平常通り営業し。現地の中国人も買い物に訪れているそうだから、本当に日系企業に地元の群集が恨みがあるとは思いがたい。「一目で日系企業とわかるところの前でのデモ」というわかりやすい「絵」が必要だったということではないか。

一方、北京でのデモは大使館への投石という展開になった。
この投石開始は官製誘導と予想する。
官の意に沿わない投石であったなら、すぐさま警察に取り押さえられていた筈だ。
最初の数人の段階で強行的に拘束してしまえば、それが予防となる(そのまま“警察”との衝突に発展する可能性はあるが)。以前、大使館への投石に対して、そうした鎮圧方法を中国は行っている筈だ。が、それをしなかったのは、容認・誘導したということだろう。
ここにおいても、大使館に突入されたりしては“やりすぎ”になる。
かといって、あまりもめて、警察(=政府)vsデモという形になるのはよくない。ただ、ダラダラと歩いているだけでは「絵」にならない。
そこで、投石という「絵」をかいたわけである。

では、この「絵」はなんのために必要だったのか。
中国本土においては、デモの報道がほとんどなされていないということであるから、中国国内向けではない(一部でいうように「国内不満勢力のガス抜き」であるならば、もっと国内向けの大きく報道されると思われる。よって、私はガス抜きという見方には重きをおかない)。
となれば、国外向け──当然、対象である日本向けの絵だったというこだ。
その狙いは、冒頭にかかげた「アジアの人々の強い(拒否)反応を受け、日本政府は深く反省するはずだ」という言葉に集約されているのではないだろうか。
“民衆”の“激しい怒り”を見せつけ、日本政府に言うことを聞かせようとしたのだろう。
だが、小泉─町村は、今までの日本首脳とは違い、それに屈しなかった。日本国内でも、思いのほか、中国に対する反発が厳しいし、米英からも中国の治安体制を非難する様相になってきた。
それで、あわてて日本のマスコミが日本大使館の被害状況を報道するのを妨害してみたり、しつこく「原因は日本側にある」と発言したりしているのだろう。

しかし、今後の日本も強硬姿勢だけでいけるかという問題はある。
なにせ、このデモは単に民衆の絵を見せ付けるだけが目的ではない。「いざとなったら、こいつらを直接、日本企業の工場に差し向けるぞ」という脅しでもある。中国へ工場を進出させてしまった多くの日本企業がある以上、人質をとられているも同然なのだ。

少し長くなったが、つまるところ今回のデモは、民製デモを官側がうまく利用・誘導、おきた事も想定内(誘導内)だったという、半官半民、第3セクター方式とでもいえるものだったのではないだろうか。

ただし、今後とも“想定内”にとどまり続けるかどうかは不透明だ。
暴走の危険性はかなり強く孕んでいると、私は考える。

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