Nov 30, 2004
民主党の迷走
首相は堂々と靖国参拝を フジテレビ番組で平沼氏(産経新聞11月28日)によれば、民主党の菅直人前代表は「太平洋戦争で日本人だけでも300万人が亡くなった。この戦争の指導者の責任はある。それを無しとするような形を取るべきではない」と、A級戦犯が合祀(ごうし)されている靖国神社への首相の参拝を批判した(岡田民主党前代表も同じような主旨を党首討論でこたえていた筈)。
一方、靖国問題で首相の姿勢を批判…民主・小沢氏(読売新聞11月28日)によれば、民主党の小沢一郎副代表は「『靖国参拝が自分の信念だ』というなら、堂々とそう言えばいい。今年は正月に行って、いいかげんなことでごまかそうとしているのが、日本が侮られる最大の問題だ」と述べ、首相の姿勢を批判したという。
大分、ニュアンスが異なる。
これでは、民主党は党内不一致の感を与え、支持を拡大することは難しいだろう。
靖国問題でみると、自民党でも加藤元幹事長らが小泉首相の参拝に反対を表明しているが、自民党はそうした派閥抗争を繰り返してきた歴史があるために、なんとなくみんながそういうものだと思って得をしている。政権担当政党の“既得権益”とでもいうべきか。
それに対して、これを奪取しなくてはいけない民主党は、自民党と同じようなことをしていては駄目だ。
私は、今の民主党を単純に応援するものではない。しかし、民主党が政権を現実の射程に収め、政党同士が切磋琢磨するような環境になれば、現在よりも政治の質は向上するだろうと期待するものだ。
Nov 29, 2004
対中ODA停止へ?
対中ODA打ち切りに言及 「卒業の時期」と首相(共同通信11月28日)ということで、小泉首相が“聖域”だった対中ODAの打ち切りに言及した。
これに先立ち、町村外相が対中ODA減額明言 外相、近い将来「打ち切り」も(産経新聞11月27日)、参議院が対中ODA推進は不必要 円借款廃止視野に縮減を 参院報告書(産経新聞11月10日)というように、相次いで対中ODA見直しを打ち出しており、この問題がいよいよ本格化してきたようだ。
私は、対中ODAの削減・廃止に大賛成である。
まず、原則論からいく。
ODA(Official Development Assistanc=政府開発援助)は「開発途上国の経済・社会の発展や福祉の向上に役立つために行う資金・技術提供による協力のこと」(外務省HPより)だ。
中国は、ロケットを打ち上げ、原子力潜水艦を運用し、あまつさえ開発途上国への援助も行っている。“世界の工場”とも称されるほど発展している国は、既に「開発途上国」ではありえない。
また、国策面からも問題がある。
軍事力、特に海軍力の増強は著しく、ODAで「浮いた」資金を回していると考えられ、先の原潜領海侵犯事件やガス田問題で見られるようにそれが日本にも向いている。
加えて、日本国内産業と中国産業は多くの分野で競争し、特に日本の中小企業は苦戦を強いられている。国内企業は苦しい中から税金をとられた上に、その税金が他国の競争相手の支援に使われているのでは、国民感情も納得すまい。
もし、対中ODA打ち切りを決定できるのであれば、小泉首相は大英断を下した首相となろう。
ただ、一方で気になる情報がある。
日本からのODAなしでもやって行ける=中国外相(ロイター11月28日)だ。
これが、プライドに基く本気の発言だったり(これはまずありえないだろう)、日本がODAを政治カード化しようと中国が受け取って「それはカードとして効かないよ」というプラフだったり(これはあるかも)する分にはかまわない。
しかし、中国が納得した形でODAを打ち切るかわりに、裏で変なバーターが約束されていないかと心配だ。
そうでないことを祈りたい。
Nov 26, 2004
裁判で訂正放送請求できず
裁判で訂正放送請求できず NHK番組の名誉棄損訴訟(産経新聞11月25日)によると、テレビ番組で事実に反する内容を放送され名誉を傷つけられたとして、NHKに放送法に基づく訂正放送を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁は裁判で訂正放送を求めることはできないとの初判断を示した
まずは、放送法第4条(訂正放送等)を抜粋してみよう。
第4条 放送事業者が真実でない事項の放送をしたという理由によつて、その放送により権利の侵害を受けた本人又はその直接関係人から、放送のあつた日から3箇月以内に請求があつたときは、放送事業者は、遅滞なくその放送をした事項が真実でないかどうかを調査して、その真実でないことが判明したときは、判明した日から2日以内に、その放送をした放送設備と同等の放送投備により、相当の方法で、訂正又は取消しの放送をしなければならない。
2 放送事業者がその放送について真実でない事項を発見したときも、前項と同様とする。
3 前2項の規定は、民法(明治29年法律第89号)の規定による損害賠償の請求を妨げるものではない。
なるほど、訂正放送は放送局の“義務”とはされているが、被害者の“権利”とされているわけではない。
法学者の間でも、見解が分かれていたようだが、最高裁の判断も法理的にはおかしなものではないだろう。
しかし、現実問題として(インターネットの普及により多少低下したとはいえ)圧倒的な影響力をもつマスコミに対して、1個人はあまりに無力である。様々な報道被害を泣き寝入りしている人は多くいる筈だ(私の周囲にもいる)。
法改正をして、報道被害者の権利として、訂正報道の要求を認めるべきではないだろうか。
Nov 25, 2004
外交カードとして靖国問題
アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議でチリを訪れていた小泉首相と中国の胡錦濤国家主席が21日、会談を行った。
この中で、胡主席は小泉首相の靖国神社参拝を直接批判し「日中の障害」と中止を要求したという。
最近の日中首脳会談では靖国問題はとりあげられなくなってきていたのだが、ここにきて急にとりあげてきた理由は簡単だ。
原潜領海侵犯問題で日本に責められるのがわかっていたため、そのカウンターを必要としたのである。
つまり、靖国問題でなくても、日本を責めることができるものであれば、何でもよかったのだろう。
この中国からの“攻勢”にも小泉首相は冷静に対応したようだ。
チリでは靖国神社参拝の今後について言及しなかったのは、いわゆる“大人の態度”的なもので、国際外交としては、やや不満が残るところだが、圧力には屈せずに日本の基本姿勢を説明し、参拝を中止すると言わなかったことには(日本の歴代首相が腰砕けだったことに比べれば)評価できる。
私は、靖国問題を外交カードとして持ち出した事自体には、中国に憤りを感じたりはしていない。外交というものは、そうしたものだからだ。
むしろ、それに簡単に踊らされている国内のマスコミを見ているほうが怒りを感じる。
Nov 22, 2004
ドラえもんの声変わり
ドラえもんの声、交代へ…大山のぶ代ら来春降板(産経新聞11月22日)ということで、ドラえもんの声優陣、大山(ドラえもん)、小原乃梨子(のび太)、野村道子(しずか)、たてかべ和也(ジャイアン)、肝付兼太(スネ夫)という主要声優陣が交代することになったという。
今年春の映画公開が中止となり、TVシリーズ新作も制作停止(再放送で番組自体は放映していた)となっていたことから、ファンの間では何か特別な動きがあるのでは、と噂されていたが、それは事実だったようだ。
長期シリーズにおける声優陣交代といえばいくつかの例があった。
サザエさんやちびまる子ちゃんでは、各キャラ単位で交代があったが、以前の声優を参考にしつつも声自体は全く新たなものである。
また、ルパン三世では長く主役・ルパン三世を務めた山田康雄氏の逝去により、物真似芸人の栗田貫一を後任に起用“同じ声”を出させた(同様の例に、セーラームーンで主役セーラームーンの三石琴乃が病気による長期休があり、荒木香恵が“同じ声”で代役をつとめたことがある)。
後任声優が発表されていないが、25年間のイメージというのは並大抵のものではなく、どのような方針でいくのかは気になるところだ。
報道によれば、今回の声優一斉交代は制作側の主導だそうだが、これで思い出すのがルパン三世である。
OVAとして87年に制作された「ルパン三世 風魔一族の陰謀」では、シリーズ声優陣の若返りを図ってキャストを一新。ルパン三世に古川登志夫、次元大介に銀河万丈、峰不二子に小山茉美、石川五右ェ門に塩沢兼人、銭形警部に加藤精三という“ニュールパン”にしたのだが、これがファンに酷評。次からは、また、何事もなかったかのようにいつもの声優陣に戻ってしまったのだ。
確かにドラえもんの声優陣は70才から66才と高齢化しているが、全員交代はかなりのリスクだろう。
ドラえもんの主題歌にアイドルを起用したりと、テレビ朝日の近年の手法には、若干、疑問符があるのだが、私もかつては見て育った番組だけにうまく交代が成功してほしいものである。
Nov 19, 2004
Firefox拡張機能
Firefoxの魅力の一つに、豊富な拡張機能があります。
xpiで提供されるそれらの機能は(そのサイトからのソフトインストールを許可にしておけば)ブラウザ上からクリックすることでインストールすることができ、大変手軽です。
また、インストール後も「ツール」→「拡張機能」で削除や設定変更、あるいはVerUPの検索などを簡単に行えるのもよいです。
現在、私が使っている拡張機能はこんなところです。
Tabbrowser Extensions
Mozilla Suiteの頃から愛用しているタブブラジング拡張機能。
一時、拡張しすぎで動作が重くなりましたが、機能を個別に指定することで、ある程度解消されています。
タブをダブルクリックでの新規タブ作成や、タブごとへのクローズボタンの表示、新規タブの開き方の細かい制御などができます。
Sage
いわゆるRSS/ATOMのfeedリーダ。Firefox組込となって、サイドバーに表示される。
専用ソフトに比べるとやや簡単なものだが、どうせブラウザで記事は見るので、Firefoxの中に取り込まれているのがありがたい(多くのRSSリーダソフトはHTML表示にIEコンポーネント使用しているのが個人的にイヤ)。
私は1日に1回程度しか更新のないサイトのRSSリーダとして使用しています(ニュースサイトなど煩雑に更新のかかるサイトはThunderbirdのRSSリーダでチェックしています)。
Ez Sidebar
Slidebarを分離して別ウインドウとして表示したり、任意のWebページをパネルとして追加できます。これとSageを組み合わせると、表情に便利です。
Search Button
検索バーにボタンを追加するのが主目的? 私は、検索することが多いので、自動的に検索バーの履歴を削除したり、新しいタブを開いてアクティブにして検索結果を表示する機能を愛用しています。
ieview
世の中にはIEでしか動かないサイトも結構多い。そんなときに、この拡張を使うとリンクを右クリックして「Open Link Target in IE」を選択することで、URLコピペなどをしなくてもIEでサイトを簡単に開くことができて便利。
Popup ALT Attributes
画像にalt属性で設定された代替テキストを、NC4以前やIEなどと同様にポップアップ表示するための拡張機能です。
本来のHTML定義からすると、画像が表示されさすれば必要のないはずの機能ですが、実際にはナビゲーションとして表示しないとサイトを巡ることが難しいようなサイトもありますので、それへの対応ですね。
Text Link
リンクになっていないURI文字列をダブルクリックしたときに、リンクのように開けるようにするものです。頭が完全じゃなくても(例えば、ttp)解釈してくれるのがよいですね。
こうやってみると、“outsider reflex”さんの拡張に頼っていることが丸解り。
優れたアプリを提供してくださることに多謝。
拡張機能を選択することで、自分好みの機能でカスタマイズできるFirefoxは、当然、各個人によって使いやすいものになる。
ただ、その冗長性の高さが、逆に初心者には敷居が高く感じないかと心配してしまう。
Nov 18, 2004
ドラフト最年少指名
先日のプロ野球のドラフト会議で、ドラフト市場最年少の指名として、辻本賢人投手(15)が阪神タイガースから8巡目で指名された。
辻本投手は米国の高校を休学中。野球協約には留学生(日本国外の学校に在学している場合)に関する規定がなく、かつ、ドラフト対象選手の条件である日本国籍をもっているということで、対象選手になったということだ。
ユースを組織して年少者をプロスタッフにより指導しているサッカーとの違いがまた浮き彫りになったのはともかく。
一つ気がついたのは、彼が18才未満であるということだ。
というと、労働基準法の年少者保護規定にひっかかるということになる。
第60条により、最大でも一週間の労働時間は48時間に規制される。練習や遠征では成年者と全く同じ行動はできなそうだ。
また、61条により就業できるのは午後10時まで(厚生労働大臣の許可を得ても最大午後11時まで)になる。プロ野球ニュースに生出演できないのも当然として、ナイターで延長戦が長引くとベンチから退場しなくてはいけないということになる。
どうやら、どんなに成長しても三年以内は、抑えとして起用することは難しいということになりそうだ。
Nov 17, 2004
Thunderbird
といっても人形劇でもV6が宣伝してたやつでもない。
Mozillaのメーラーの方である。
Thunderbird V0.9の英語版が公開されてはや二週間近く。Win版では特に問題がなさそうなので、導入を試みました。
今まで、0.8を使用していたので、セオリー通り拡張機能削除→アンインストール→0.9インストール。各種データも問題なく移行しました。
なお、テスト用ですが、日本語化情報はこちらMozilla L10N - Thunderbird 0.9 Contribute JLPから取得しています。
0.8から0.9でのVerUPで追加された機能の目玉は、「Saved Searchフォルダ」(設定された検索条件に基づいてメッセージを1つのフォルダでまとめて表示。その検索条件を保存できる)、「メッセージグループ」(任意のフォルダ内で、選択した項目でメッセージをグルーピングする)機能のようです。
しかし、個人的には、表示条件(「全て」「未読」「最近のメール」とかのやつ)が各フォルダごとに設定・保存できるようになったことと、RSS機能の文字コード対応が強化(バグフィクス?)されていることが有難いですね。
また、相変わらずスパムフィルタが強力なのも嬉しい限り。
スパムメールに悩まされている方は、一度、試してみてはどうだろうか?
Nov 16, 2004
北朝鮮と日本と米国
第3回日朝実務協議が終了し、訪朝団が帰国した。
今回、日本のマスコミは北朝鮮側に入国を拒否されて同行できなかったため、会談の詳細がようやく明らかになりつつある。
既に各種報道で明らかにされているので、改めては述べないが、北朝鮮の言い訳振りは子供の理屈のようで呆れる。
もっとも、それに右往左往させられている日本の現状にも呆れるところは大きい。
今回もめぐみさんのものという遺骨が北朝鮮側から渡された。
遺骨のDNA鑑定には、時間がかかるものと思われる。制裁論が高まっているとはいえ、この鑑定結果を待たなくては、さすがに政府は動きにくいだろう。これでまた時間が稼がれてしまう。また、火葬された遺骨というものはDNA鑑定が難しいものなのなので、“否”という鑑定結果が出ても、それを北朝鮮は言い訳にすることができる。
見え透いてはいるが、突っ込みにくいといういやらしい戦術だ。
一方、米国では、コリン・パウエル国務長官が辞任を表明した。
国務省は日本でいえば外務省にあたるが、パウエルは米統合参謀本部議長出身であるため、軍部にも影響力があった。
他にも辞任する閣僚がいるとされ、後任も不明な状態であるから断定はできないが、彼が辞任することで、穏健派の勢力は後退するだろう。
強硬派の勢力伸長は、対北朝鮮だけに限ってみれば、日本に有利に働く。
北朝鮮が恐れるのは、何よりも米国の武力であるため、同盟国・日本への対応も、それを意識せざるえなくなるからだ。
利用できるものは利用し、引くばかりでなく強い“押し”もなくては、外交というものは進展しない。
ましてや、日本側には北朝鮮と国交正常化するさしたる理由はないのだから。
Nov 15, 2004
奉祝・紀宮内親王殿下ご婚約
紀宮清子内親王殿下と秋篠宮殿下のご学友である黒田慶樹氏のご婚約が発表された。
謹んでお祝いを申し上げたい。
新潟県中越地震の被災者らに配慮して、正式発表こそ延期されたようだが、台風・地震など暗い話題が多かっただけに、こうした明るい話題は喜ばしい。
女性皇族は、結婚すれば皇籍から離脱することになる。最も近くでは、三笠宮殿下の次女、容子内親王殿下が八三年にご結婚されており、また、天皇家となると六〇年の清宮貴子内親王殿下以来のことである。
ただでさえ、結婚となれば環境の変化にとまどうものだが、天皇家からともなれば、より以上の“激変”。前例が二〇年以上前であるから、社会環境も異なり、誰にとっても“未知”の部分は多いのではないか。
様々に困難はあるだろうが、ご夫婦と、そして周囲の人々の支えがあれば、きっと乗り越えてゆけるだろう──願わくば、お二人の周囲を変な“取材”でかき乱さないでほしいものだ。
以下、雑感。
黒田氏は、学習院大学を卒業後、銀行に就職するが、都市計画をやりたいということで、それを辞めて都庁に入庁。希望通り、現在は東京都都市整備局市街地建築部に所属されている。
このような“キナ臭い”職場からは、万が一を考えて遠ざけられてしまい、希望通りの仕事ができなくなってしまうのではないだろうか?
また、紀宮内親王殿下といえば、アニメ好きでとして一部では有名だ。
アニメージュが愛読書だった(元々は複数のアニメ誌を読まれていただが、一冊に絞るように言われ、ナウシカ連載中だったアニメージュにしたとか)とか、クラッシャージョーのファンで、友人に頼んでコミケで同人誌を買ってきてもらったなどという逸話がある。
ご結婚後は晴れて“一般人”ということで、コミケに自ら来場!──されたりはしないよな、やっぱり。
Nov 12, 2004
アラファト逝去
PLO(パレスチナ暫定統治機構)議長のヤセル・アラファト(本名:モハメッド・ラウフ・アラファト・アル=クドゥフ・アル・フセイニ)氏が逝去した。享年75才。故人の冥福を祈る。
過去の日本の報道を振り返るに、「イスラエル=悪、PLO(アラファト)=善」のような単純な二元論が多かったように思う。
そこで、アラファトの“影”に光をあてていきたい。
まず、忘れてはならないのは、彼は紛れもないテロリストであったということだ。 1959年、カイロ大学在学中にファタハを組織。現在の報道では、「対イスラエル武装闘争」とされているが、これこそテロそのものである。 1968年、遠足から帰る途中のユダヤ人児童を乗せたバスが南部の砂漠を走行中、地雷を踏み、29人が死傷する事件もファタハによるとされている。 1969年2月にPLO議長に就任すると従来の穏健派を一層。PLO配下の「ブラック・セプテンバー」(実際にはファタハの国際テロ活動時の隠れ蓑的名称といわれている)は、1971年にヨルダン首相ワシフィ・アル・タルを暗殺、1972年には有名なミュンヘンオリンピック選手村イスラエル選手団人質虐殺事件を起こしている。
彼が穏健路線に転じたといわれているのが、1998年、国連総会でイスラエルの生存権承認とテロ放棄演説だ。この後、1993年にイスラエルとパレスチナ暫定自治共同宣言に調印し、1994年にはノーベル平和賞を受賞するまでに至る。
だが、2000年9月の、イスラエル・リクード党シャロン党首(現首相)のエルサレム旧市街「神殿の丘」(イスラムの聖地)訪問を契機にイスラエル・パレスチナ間の武力衝突が再燃・激化。2003年にイスラエルとPLOは新中東和平案「ロードマップ」に合意したが、実際にはイスラエルのテロが横行していることは現在進行形だ。
アラファトは、イスラエルがいうようにテロに資金援助までしていたかどうかまでは定かではないが、最後まで治安・情報部門は自分の手元においていたため、テロを意図的に取り締まらないなどの間接的な形で、イスラエルへの“武力闘争”を続けていると受け取られている(これが、米などからアラファトが「和平最大の障壁」といわれている要因の一つだ)。
また、嘆き悲しむパレスチナ人の姿が報道されているが、自治政府やPLOの資産を一手に管理・掌握し、また、側近や盟友による指導体制を敷いて汚職をまかり通らせたことに批判も多かった。
実際、昨年の米誌フォーブスの「世界の国王・元首資産番付」によると、個人資産は3億ドル(約320億円)で6位にランキングされている。ビジネスを行っているわけでもないアラファトがどうやってそれだけの資産を貯めたのかは、大いに疑問が残るところだ。
アラファトがカリスマ的指導者であり、後継者が見あたらないといわれているのも、先に述べたように、側近政治を行い、“ライバル”を蹴落としてきたためだ。
今後は後継者争いが激化すると見られているが、特にクリスチャンであったスーハ夫人は素顔をそのまま人前に出すなどイスラムの伝統的価値観を守らず、フランスで贅沢な生活をしているなど反感を買っている。この人物が(遺産の行方なども含めて)表に出てくるようだと、より一層、状況は混沌とし、パレスチナは統制を失うことになろう。
長期的には、アラファトの死はイスラエル・パレスチナ和平に有利に働くと見ているが、短期的にはテロ激化などが見られると思われる。
ところで、アラファトの病はAIDSだったという情報がある。
病状に関しては、「白血球の増大と血小板の減少」「胃腸の消化障害」「体重の急激な減少」「白血病ではない」「意識障害」などと断片的なものが出回っているが、それとは整合する。その上、なぜか病名が公開されていないという現状の説明もできる。
なかなか説得力がある説だとは思うが、今となっては、何が病名でも特に違いがあるわけではあるまい。
ただ、「イスラエル(や内部抗争)による毒殺」などという怪説を防ぐためには、病名の公開をすべきだと思う。
Nov 11, 2004
中国潜水艦領海侵犯
10日、中国潜水艦漢級攻撃型原子力潜水艦とみられる潜水艦が潜航したまま沖縄県先島諸島周辺の日本領海を侵犯するという事件が発生した。
漢級は中共海軍が74年から就役させている、同国最初の原子力潜水艦である。
いわゆる核弾道弾をもつような戦略潜水艦ではなく、敵艦攻撃など戦術的な目的をもつ潜水艦ではあるが、戦術核兵器を装備していることはほぼ間違いない。
性能的には、原子力潜水艦を保有しているという名目のために建造されたようなもので、就役当時から劣るものとされている。既に旧式化しているのだから余計に性能的な評価は低くなる。
このことから、推察するに、海上自衛隊の兵器性能を探りにきたのではあるまい(海自の対潜水艦能力は世界屈指だから、漢級ではすぐに発見されてしまうことは自明だ)。
日本領海に潜入してから発見されるまでの、海自の兵器運用という意味での対応能力、そして、日本政府の初動を確認することが軍事的な意味合い。そして、最大の目的は発見されることを前提に、日米台に対する政治的な意味合い──天然ガス田や領土問題、そして台湾問題に対する示威行動だったと見るべきだろう。
種子島南東太平洋上にいる中国の潜水艦救難艦と航洋曳船は、いざという時に「故障だった」と“言い訳”をするためのものだと思われる。
さて、この事件に対する政府の対応で、海上警備行動発令が遅すぎた(潜水艦が領海外へ出てからの発令)という批判がでるだろうことは想像の範疇だった。
しかし、毎日新聞には、私の予想の斜め上をいかれてしまった。
後者の記事では「日中が緊張している海域でもあるので、過剰に反応したのかもしれないが、より抑制的に対応すべきだったのではないか」「仮に故障した船を潜水艦が助けにいっただけだとしたら、海上保安庁で十分対処できるはず。情報不足で判断できないが、法的な要件を満たしているかどうか疑問を感じる」というおよそ常識から掛け離れたコメントを掲載している。
まず、潜水艦は、他国領海内を通過する際には、浮上して国旗を掲げなければならないことが国連海洋法条約で定められている。
また、潜水艦という兵器が潜水したまま領海内を航行するというのは、軍事行動として類して処理するのが常識であり、同条約での領海内での第三国による一切の軍事行動禁止にも抵触する。
このことから、潜水したままの潜水艦について海上警備活動を発令することは法的な要件を十分に満たしているといえる。
もし、本当に故障だとすれば、それを日本側に通告すればよいのであり、今回の潜水艦の違法行動は明白だ。
もっとも、故障だったとしても通告などしないのは常識で、それに対して海上警備行動をするというのも常識である。中国でも(政治的な利用は別として)問題とすることはありえない。
毎日新聞に掲載されたコメントは「家の近くに武器をもった身元不明の不審者がうろついているから警察を呼んだ」ことについて、「もしかして病人だっただけかもしれない。警察を呼ぶのはいきすぎである」と非難しているのに等しい。
また、前者社説では「近くに中国の潜水艦救難艦などが航行しており、領海を侵犯したのは、中国の原子力潜水艦とみられる。原潜が機関故障を起こしたとすれば、事は重大だ。」としているが、重大だったのは原子力潜水艦が潜航したまま=軍事行動状態で領海侵犯を行ったことであることは言うまでもないだろう。
ましてや「中国側に言うべきことを言うためには、まずはぎくしゃくした日中関係の改善が急務である。外交努力の積み重ねしかとるべき道はない。日中関係をこれ以上悪化させてはならない。」などというのはお門違いもいいところ。潜水艦を派遣した中国側に責任がなく、日本側の対応が悪いから中国様がお怒りだ、いとでもいうことだろうか。
南シナ海では、海洋調査の結果、大量の石油、天然ガスが存在していることが明らかになった。
この地域はヴェトナム、フィリピンなど各国が領有権を主張しているが、中国は14世紀の鄭和による航海にまでさかのぼっての関係をもとに南シナ海の4/5の海域に対して主権を主張。積極的海洋調査を行い、南シナ海北部・西部のみならず、南部でもガス田開発を発表している。1992年に中国政府は領海法を発表し、一方的にこの地域の領有を宣言した。
1988年には南沙諸島で中越が150人近くが戦死する軍事衝突をし、1995年にも中国軍がスプラトリー諸島ミスチーフ環礁からフィリピン漁民を強制退去させる事件が発生するに至っている。
なにか、デジャブすら感じられないだろうか。
今、日本が“弱腰”を見せれば、中国がどういう戦略をとってくるのかの回答は、ここにあるだろう。
Nov 10, 2004
Firefox Ver1.0正式版
Mozilla Foundationは日本時間で9日夜、ついにFirefoxのヴァージョン1正式版をリリースした。既にMozilla Japanから日本語版の無料ダウンロードが開始されている。 V1.0PRの時には、日本語版公開の遅れが一部で批判されていたが、今回は初期リリースの言語コンポーネントとして含まれており、日本語化プロジェクト(ほとんどがボランティア!)の皆さんの仕事ぶりに頭が下がる。
さて、既にPR版を使っていた私は、拡張機能を全て無効(Disable)にした後、上書インストール→拡張機能を再び有効、という手順でアップグレードを行った。 一部、拡張機能で「今回のバージョンに対応していない」という警告が出たが、最新版に差し替えることで問題はなし。 非常にスムーズに移行も完了した。
Firefoxは、かつてNetscapeとして知られていたブラウザからスピンアウトして生まれた軽量ブラウザ(インストールコンポーネントは4.7MB)である。
私がこれを使用する理由は幾つかある。
- NetscapeをVer3の頃から愛用しており、それをずっとバージョンアップしてきた。
- 上記流れでMozilla Suite Ver1.7を使っていたが、同コンポーネントが肥大化し、重くなってきた。
- Firefoxには豊富な拡張機能があり、好み(使用方法)に応じてそれを組み合わせることができる。
- IEと比べ、セキュリティが高い(もちろん、デファクトスタンダードであるIEのほうが狙われやすいという点はあるのだが)。
- タグブラジングが使いやすい。
- 機能強化が随時行われている
- マイクロソフトが嫌い
いずれにしても、ブラウザがIEに独占されている状態は、好ましくない(市場原理が働かないから品質が向上しない、事実上、一社の動向にWeb技術が左右される)から、Firefoxには頑張ってもらいたいところだ。
Nov 09, 2004
マスコミと民主主義と衆愚政治
米大統領選は現職のブッシュ大統領が当選した。
この結果について、対立候補のケリー陣営や米マスコミはともかく、日本のマスコミまでもが「アメリカ国民の選択は間違っている」「ブッシュを選択したのは馬鹿だ」と吹聴する始末だ。
つまり、マスコミ達は賢人として「ケリー」という「正解」をもっていて、それに沿わなかったから「馬鹿」だというのだ。
あげくには「こんな国が民主主義の代表国としているのが恥ずかしい」といコメントがでていた。
思い上がりも甚だしいといえる。
一応は正当な選挙で選択された結果を、つまり民主主義を否定しているのは、彼らマスコミのほうだろう。
一方で、マスコミは、最近の自衛隊イラク撤退論議では、「国民の60%以上が撤退させるべき」などと世論を背景にして撤退論を形成している。
こちらには「国民の選択は間違っている」「撤退を選択したのは馬鹿だ」という論にならないのはなぜだろうか。
それを検討しなくては、ブッシュ再選批判報道と評価基準が異なる、いわゆるダブルススタンダートになっている。
とはいえ、本当はスタンダートは一つなことは自明だ。
マスコミが望む「正解」に沿っている場合は「世論を利用する」。異なっていれば「世論は間違っている」。
先に「正解」(=マスコミが望む結果)がありきということである。
もっとも、彼らが論を一歩進めて米が衆愚政治に堕ちたというのであれば、一聞の価値がある。それは現在の民主主義政治制度の限界を指摘することに他ならず、それを乗り越えるための論議にもつながるのだから。
Nov 08, 2004
戦闘地域神学論争
自衛隊のイラク派遣延長を巡って、論議が活発になってきた。
撤収派は、自衛隊が派遣されているサマワ近郊について、戦闘地域となったから撤退させるべきだとし、その有力な証拠として自衛隊駐屯地にロケット弾が打ち込まれたことをあげている。
しかし、たかだがロケット弾(あるいは迫撃弾)が数発うちこまれたくらいで、戦闘地域だというのは無理がある。
例えば、つい先日、自衛隊の観閲式会場を狙って金属弾がうちこまれるという事件があったが、つまり、埼玉県も戦闘地域だということになるのだろうか? あるいは、何年か前、防衛庁を狙って六本木の交差点に金属弾(当時はロケット弾として報道されていたが、実際には迫撃弾というのが正しいだろう)が落下したこともあったが、六本木が戦闘地域だということになるのだろうか?
物事ははっきりさせたほうがいい。
撤退論者は「戦闘地域だから撤退させるべきと主張している」のではなく、「撤退させたいから戦闘地域と主張している」にすぎない。
だから、論戦が「戦闘地域が否か」などという不毛な神学論争になってしまうのである。
論ずべきは「自衛隊派遣を継続/撤退のどちらが、日本のためになるのか」ということだろう。
Nov 05, 2004
香田氏を悼む
イラクでテログループの人質となり殺害された香田証生氏の遺体が故郷に戻り、お通夜(キリスト教式なので、正式には前夜式)が営まれた。引き続き告別式がとり行われる。
今回のエントリには、以前の繰り返しになる部分もあるが、まとめとして書かせていただく。
香田氏の行動は、やはり、無謀にすぎたといえる。
私は以前、自己責任について“要は「自分のケツは自分で拭け」ということ”と記した。そして“リスクを正しく把握していたか?”“「覚悟」ができていたか?”という二点をあげた。
この基準からすると、今回もやはり、自己責任の範疇であったといえる。香田氏はリスク把握も覚悟もできていなかっただろうことは、目撃者や証言から推測できるからだ。
しかし、拉致された映像で一言挟まれた「すいません」という言葉に、彼の反省と──これからおこることへの覚悟が籠められていたような気がする。
そして、香田氏の両親も立派だった。
事件当初から、“覚悟”をしていたことがうかがえていたが、最悪の結末を迎えてなお、恨みごとの一つもいわず、「皆様には、多くのご心労をおかけしました。また、ご支援いただいた多くの方々に、心から感謝申し上げます」と周囲への謝意を示すコメントを発表しているのだ。
4月の最初の人質事件の家族と比較するのも憚られるが、格というか器が違う。
かつて、日本人は、もっとこうした尊厳をもっていたと思うのだが。
更にはネット上に出回った香田氏の殺害シーン(私はあえて“処刑”という言葉は使わない。彼は刑を処される理由がないからだ)をDVDにしてオークションに出したという事件も発生した。
テロリストは、信念や彼らなりの正義をもって(間違っているとはいえ)行動している。だが、これは、ただの金儲けであり、テロリスト以下、鬼畜以下の所業だ。
出品者が誰だかはわからないが、怒りを通り越して呆れ、悲しくなる。
「大辞林 第二版」(三省堂)によれば、責任とは「自分がかかわった事柄や行為から生じた結果に対して負う義務や償い」となる。
香田氏の拉致殺害という結末は、まさに自身の行為から生じた結果に対して負ったことであり、香田氏の自己責任といえる。
だがしかし、それと犯罪行為の評価は別だ。
テログループの行動は、決して過失などではなく、明らかな故意。それもソフトターゲットを狙ってのものである。香田氏の自己責任によって、その犯罪が免責されるものではない。
「危険地域に無防備に飛び込んだ結果、事件に巻き込まれた」ことは批判・非難されるべきことである。しかし、同時に「一民間人を拉致殺害する」ことは、より以上に非難され、日本人の怒りの対象になるべき犯罪である筈だ。
そして、テロリストにより惨殺された同胞の死を悼む。
それは当然のことだと思うのだが。
Nov 04, 2004
ブッシュ大統領再選
前回に引き続き接戦となった米大統領選挙だったが、ケリー氏が敗北を認め、ブッシュが勝利宣言を行うに至った。
既に
例えば、ケリー氏の陣営である民主党綱領では、アジアに関する記述は英文でわずか八行。それも、対中関係を中心であり、日本についてはわずか一行なのだ。北朝鮮の核問題でも、現在の六カ国協議の枠組みから日本(と中国)を外して、米韓朝で協議することを表明していた。
ブッシュ陣営である共和党が百四十八行をアジアに費やした上で「日本がもっとも重要」としているのと比較すれば、どちらが日本にとって“得”かは一目瞭然。
小泉首相が「ブッシュ氏にがんばってほしい」と発言して、少し話題になったが、一部マスコミが報道しているような“好き嫌い”などという単純なものではなく、日本の為政者達も、どちらが日本にとって有利なのかはよくわかっているということだろう。
ブッシュが当選したことでどうなるかというと、当面、何も変わらないということになる。
ただし、これは“戦後最良の日米関係”といわれた状態での“現状維持”であるから、日本にとっては好ましいことだ。
ただ、アメリカと良好な関係を保つことだけが日本の国益になるわけでもない。 国連安全保障理事国入りを目指すなど、国際的な政治大国を指向しているのであれば、国際社会で自らリーダシップを示し、あるいは海千山千の各国と対等以上の外交を成し遂げるようにならなくてはならないだろう。 そして、「民主主義国家」である以上、それを実現するためには選挙民が学び、賢い選択をし続けていくしかない。
Nov 02, 2004
三度、日本人人質事件(続々)
今度の日本人人質事件は、遺体が発見されるという残念な結末に終わった。
もとより、殺す気であったと見るべきで、フィリピンのように“即時全面降伏”でもしない限り、生還の可能性は薄かっただろう。
事件そのものは政治問題化することなく終わりそうであり、対テロの基本姿勢、自己責任という考えが、日本でも浸透しているといえる。
だが、一方で、あまりに冷ややかで“怒り”が見えてこない。
例えば、読売新聞11月2日の報道によれば、駐日イラク大使は「イラク人はこの残虐な行為を許しておらず、私は両国の友好に悪影響を及ぼさないよう努力する」「大きな衝撃を受け、非常に憤りを感じている。一般のイラク人は、戦後、急速に復興した日本にあこがれの目を向けており、日本に敵意などないことを理解してほしい」と語ったという。
この大使のコメントの方が、むしろ日本人より“怒り”を感じる。かのグループはイラク人に対してもテロを行うような集団であり、暦とした犯罪集団でもあるのだ。
自衛隊派遣の是非について論があってもいいが、自分の主張を暴力で、それも、直接は無関係な者を拉致殺害するなどということは許されてなるものではない。
同胞が無惨に殺害されたという事実に、日本人はもっと怒りを感じていいいのではないだろうか。
なお、今回、陸上自衛隊第一空挺団(の一部)がイラクへの派遣準備を進めていたという情報もある。人質奪回のために自衛隊が武力行使を行った場合、世論はどう反応したのだろうか……。
